AIでよみがえった老舗食堂がAIよりも優先させるもの

三重県伊勢市の伊勢神宮前の商店街に「ゑびや」という食堂があります。
創業100年を超える老舗食堂である「ゑびや」ですが、現在この食堂と代表取締役を務める小田島春樹さんが、先刻の中小企業とIT業界から熱視線を浴びているのです。

 

「老舗食堂がIT業界から注目?」

 

どういうことなのでしょうか?

 

「時代遅れ」の老舗食堂に感じた可能性

それは小田島さんが「ゑびや」でお仕事をすることになった頃に遡ります。
当時東京のIT企業で働いていた小田島さんですが、結婚を機に奥様の実家である「ゑびや」を「手伝う」ことになります。

 

「ゑびや」下見したとき、エアコンもレジもない、『銭湯の番台みたいなところでおばちゃんがソロバンをはじいていた』ような時代遅れの店だと感じたそうです。ただし、同時に「面白そうだ」とも。

 

伊勢神宮の前にあるという地の利を活かし、最新のマーケティング手法やITを使った戦略を使って改革をしていけば勝機があると可能性を感じたということでした。

 

そこから、紙の食券を使ったデータ収集から始まり、口コミを意識した店舗のデザインやメニューの変更を行い、徐々に成果をあげていきました。
そして、蓄積したデータから来客数を予測する需給予測AIを開発して、これで何ができるかというと、

 

・過去の来客データからその日の来客数を先読み
・来客数の見通しを立てることで仕入れの量を先読み
・注文されるメニューのパターンを計算し用意すべき量を先読み
・出勤する従業員の人員管理
・ディスポーザブルの発注量予測

 

以上の項目を需給予測AIによって的中率90%という精度で一気に管理して、お客様に対して迅速なサービスを提供するということが可能になったのです。

 

需給予測AIがもたらしたもの

また、小田島さんがやってきた頃の「ゑびや」には目玉メニューがなく、口コミサイトでの評判も芳しいものではありませんでした。
そこで新たに「ゑびや」の特徴を出すようなメニューを開発し、顧客満足度を上げることができました。グルメ口コミサイトでは地域2位の評価になっているとのことです。
しかも、これを実現するのに、AIから得られたデータを活用して予算を効率的に使えることにより売り上げも大きく伸ばすことが可能になったというのです。

 

さらに、AIによって精度の高い需給予測ができることにより、お客様だけではなく食材の納入業者との取引でも良い効果がうまれました。普通の飲食店ではできるだけ安価に仕入れようとしますが、「ゑびや」はデータから必要な量の食材が予測できるので値段交渉をせずに仕入れても利益を出せるというのです。
そのため、値段交渉をしない分いい食材を提供してくれと条件を出しても、業者の納得できる価格で取引できるため良い関係を築くことができるのです。

 

また、来店するお客様の数が高い精度で予測できることにより、最低限のスタッフで業務を回すことができるようになり、スタッフの休暇数も増やすことができるようになったということです。

 

これらの成果は小田島さんの、店に関わるお客様、取引先、従業員の三者がハッピーにならなければならないという哲学により実現したのでしょう。

 

IT改革の仕掛け人が本当に重要視するもの

しかし、最新IT技術を導入して売り上げを大きく伸ばした「ゑびや」ですが、意外なことに小田島社長が最も重要視しているのは、「人間同士のコミュニケーション」だと語ります。

 

小田島社長が「ゑびや」を見たときに気が付いたのが、サービス感覚の欠如でした。つまり「お客様にサービスの心をもって接する」という感覚がかけていると感じたそうです。

 

飲食店にしろ、小売店にしろ、お客様は「人」であるのだから、「対人間のサービスは人間にしかできない」という意識が基本になるということです。

 

実は、中小企業の経営を成功させる鍵は、小田島社長が重要視しているというお客様との「人間同士のコミュニケーション」にあります。
お客様の「人間同士のコミュニケーション」、端的に言えば、お客様との「絆」こそが最大の資産ということができるのです。

 

PS
しかし、今回の記事を読んでいるとITなど最新のオンラインの手法に通じていなければ、この資産をうまく活用することはできないのではと思われたかもしれません。
もちろん、オンラインでも「絆」を築き上げることはできますが、オフライン、アナログ手法でもお客様との「絆」を作ることはできるのです。
そのヒントが>>こちら<<にあるようですよ。

 

*今回の内容は以下の記事を参考にしました。
・https://tabi-labo.com/288403/
・https://mag.branu.jp/archives/2221
・https://www.tairakenji.com/entry/ebiya-ai
・https://japan.cnet.com/extra/ms_ebiya_201710/35112861/

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