公開日:2017/11/18

ユーザー体験を取り入れて売上を拡大する中小企業の付加価値戦略

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

これは、売上が伸びず、経営が安定しない年商1億円足らずの中小企業の成瀬社長が、自社を年商10億円の会社に育て上げるために、他社に圧倒的な差をつける秘訣と言われる「12の付加価値」とやらを求めて旅をする物語である。(フィクション)

成瀬社長が10番目に訪れたのは、都心から車で2時間ほどの田舎にある農家です。その農家は、単なる農家ではなく「農家の生活を体験できる」農家でした。有限会社エクスペリエンスは、そのような農家さんの集客、指導などを行っている会社でした。そこでマーケティング担当者から聞いた説明は次のようなことでした。
 

そもそも、人はなぜ物やサービスを買うのでしょうか?

それには大きく、2つの理由があります。

一つ目は生活に「必要だから」というものです。食料であったり、住まいに関する事だったり、子供の学生服やあなたのスーツなどです。このような商品やサービスは「コモディティ商品」と呼ばれます。そして「コモディティ商品」は基本的な機能を満足していれば、人はできる限り安いものを求めます。

もう一つが、生活には必要ではないけども「欲しい」というものです。高級車や宝飾品、海外旅行などです。このようなものは、それを手に入れることによって得られる様々な感情、例えば、目立ちたい、称賛されたい、子供たちと楽しみたい、周りがやっているからといった理由で「欲しい」と思います。これは、欲しいと思う感情を満たされるのなら、多少高額でも、人は喜んでお金を払います。

ですから、できる限り「コモディティ商品」を扱わずに、顧客が「欲しい」と思う商品やサービスを扱うことが望ましいことになります。

コモディティ化を避ける方法とは?

しかし、現代はモノ余りの時代であり、すぐに競合商品が互いに真似しあい、似たような仕様になってしまいます。その結果、最終的には価格競争になり、体力勝負に陥ってしまいます。そうなると、体力のある大企業が断然有利になります。そして、大企業は商品を大量生産するため、巷に類似商品が溢れ、商品はコモディティ化していきます。

こうした競争から脱却するための1つの手段が「エクスペリエンス(経験・体験)」という付加価値を中心に据えた「エクスペリエンス・ビジネス」です。この考えによると、顧客にとっての価値は、1)コモディティ、2)製品、3)サービス、4)エクスペリエンスの順に高くなるそうです。価値が高いということは、つまり価格を高くできる、利益率が高いということです。

そして、大企業のエクスペリエンス・ビジネスは大勢の顧客を相手にしますので、大衆に受けそうな経験・体験を提供しないといけませんが、中小企業のエクスペリエンス・ビジネスは、少数の顧客を対象にしているで、より濃密で、行き届いた経験・体験を提供することができます。ですから、エクスペリエンス・ビジネスは中小企業もぜひ取り入れるべき付加価値なのです。

体験型ビジネスの例

基本的に、どんなビジネスにもエクスペリエンスは適用できます。エクスペリエンス・ビジネスを一言でいえば、「お客様と一緒に何かをやる体験型」を提供することです。

例えば音楽業界では、インターネットが普及した現在では、音源自体はどこでも安価に手に入れられるようになりました。このため、音源そのものよりもライブが大きな価値となっています。有名人のライブは無論ですが、マイナーな音楽家のライブにも人は集まっています。

また、観光地に行けば「◯◯手作り体験」などというのは必ずありますし、レストランのバイキング(取り放題)も1つの体験型と言えます。この場合、場合によっては人件費の削減にも繋がります。考え方にもよりますが、「お金をもらいながら手伝わせる」とも言えるのが、この体験型のメリットです。

お土産店も同様です。USJの人気アトラクション「ハリーポッター」には、映画で出て来る魔法の杖を買う場所があります。杖を売るだけなら、単なるお土産ビジネスです。ところが、USJの場合には、園内に数カ所、魔法を唱える場所があり、そこで買った杖を持って魔法を唱えると吹雪が起こったりして楽しめます。これは、ハリーポッターの世界を体験したいという欲求を満足させることができます。お土産店だと、何かしらの有名なモノと関係しているわけですから、それと関連のある体験を作り出すことは難しいことではありません。

エクスペリエンス・ビジネスの作り方

要は「エクスペリエンス(経験・体験)を売りましょう」ということですが、問題は、経験・体験の「価値」を伝えにくいということです。単に言葉だけで「こんな経験ができます」と言うだけでは、それによって得られる感情的なメリットは顧客の想像に任せるしかありません。

このため、大切なことは、あなたの商品やサービスを購入することで得られる感情的なメリットを探して、それが分かるように伝えることです。

人間の興味タイプには5種類あると言われています。
1:『人』に興味があるタイプ
2:『モノ』に興味があるタイプ
3:『情報』に興味があるタイプ
4:『アクティビティ』に興味があるタイプ
5:『場所』に興味があるタイプ

この5つの興味タイプの中でも『アクティビティ』に興味があるタイプの人には、この体験型の付加価値は効きます。そのような人に、あなたの商品やサービスを試してもらって「どう感じたか」を具体的に聞いてみます。そこで、ある程度の感触が得られたら、そのお客さんの感想を広告に使って、まずはお手軽な体験をしてもらいましょう。お手軽な体験とは、商品であれば単品にするとか、サービスなら短い時間などにして価格を下げたものです。

そんなお客さんの中の『アクティビティ』に興味があるタイプの人なら、全てのサービスを体験したり、リピートしてくれるようになります。そのようなヘビーユーザーができれば、口コミで広めてくれますし、マスコミにプレスリリースで告知すれば取材に来てくれて、一挙に知られるようにもなります。

ネットのエクスペリエンスの例

ネット販売などの実店舗がないビジネスでもエクスペリエンス・ビジネスは可能です。

例えば、「UNIQLOOKS」というページがあります。ここでは、お客さんが自分でコーディネートした組み合わせを写真でとって投稿してもらっています。ユニクロの服は基本的には、どこにでもありそうなものです。しかし、組み合わせによっては格好良くもなります。そこで、お客さんがお気に入りの組み合わせをネット上で公開します。

これによって
・投稿した人は掲載されて更にユニクロのファンになり
・見ている人も参考になる
という売上げアップに繋がっています。

Facebookやインスタグラムの普及のおかげで、お客さんが写真などを投稿するのが非常に簡単になりました。ですから、従来は、ネットショップで購入して頂いた「お客さんの声」をもらっていたところを、購入品を使っている状況の写真を撮って掲載してもらうことも可能です。

ペット用品などであれば、それを使っているペットの写真を募集すれば、かなりの数が集まるでしょう。このように、お客さんの写真や動画を掲載してもらうのも、お客さんとの共同作業による体験型です。

「商品を売るな!夢を売れ!」
By スティーブ・ジョブス

P.S.エクスペリエンスの例も手に入ります

中小企業経営支援会

関連記事



 

error: Content is protected !!