公開日:2017/11/11

人手不足を解消し、高利益率を上げる付加価値「セルフ」とは?

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これは、売上が伸びず、経営が安定しない年商1億円足らずの中小企業の成瀬社長が、自社を年商10億円の会社に育て上げるために、他社に圧倒的な差をつける秘訣と言われる「12の付加価値」とやらを求めて旅をする物語である。(フィクション)

9番目に成瀬社長が訪問したのは、フランチャイズ飲食店の株式会社セルフイートです。

社長の香田薫の部屋に案内されたら、挨拶もそこそこに、香田社長自らコーヒーを淹れながら会話が始まりました。
 

高利益率ビジネスの秘密

香田:私のビジネスの付加価値を説明する前に、成瀬さんは、讃岐うどんチェーンの「丸亀製麺」や「はなまるうどん」をご存知ですか?

成瀬:ええ。もちろん知っていますよ。麺をもらって、自分で好きなトッピングの具材を取ってレジでお金を払う「セルフうどん」ですよね。

香田:そうです。今や「セルフうどん」はハワイなどにも進出していて、世界的に注目されています。どうして、そんなに注目されているかご存知ですか?

成瀬:そうですね。早くて、安くて、美味しいからですかね。どこかの牛丼屋みたいですけど。ファーストフードってことでしょうか?

香田:それもそうなんですが、例えば、今、おっしゃった牛丼屋などは、結構、苦戦していますよね。ところが、「セルフうどん」店の利益率は、他の飲食業と比べると、とても高いんですよ。

なぜなら、セルフうどん店は、決まったトッピングだけを準備して、来店客が自分で麺とトッピングの具材を盛り付けていくスタイルのため、厨房や接客の負担が少なくて済むからです。うどんの単価は 290円ほどと安いのですが、ほとんどのお客さんは、天ぷら、おむすびなどのトッピングを追加するため、客単価は 500円前後になり、売上高から食材原価、人件費、その他の経費を差し引いた利益率が高くなるんです。

つまり、ポイントは「セルフ」ってことなんです。セルフサービスのビジネスモデルは、価格を下げる代わりに製品やサービスの価値創造の一部をお客さんに肩代わりしてもらうということです。お客さんに肩代わりしてもらうことで、人件費の負担を軽減したり、設備投資を少なくすることで、単価を下げつつも、利益率を高くする方法なんです。

「セルフ」に適したビジネスとは?

香田:このビジネスモデルが特に適しているのは、コストがかかる割にお客さんからはあまり価値を認められないプロセスを持っているビジネスですね。

このようなビジネスは、低価格であることに加え、セルフサービスにするとお客さんにとって時間の節約につながることが多いんです。作業内容によっては顧客が行った方が迅速かつピンポイントに実施できるものもありますから、その場合にはセルフサービスの結果として効率が向上することすらあるのです。

例えば、今は当たり前のようになっていますが、パン屋などもそうですよね。昔は、ショーケースに並んだパンを店員に取ってもらっていました。ただ、このプロセスはパンを取ってもらうだけのプロセスなので価値は高くなく、それでいて混んでいるときなどはお客さんは自分の番になるまで待っているわけです。

そこで、パンをショーケースから出して店に並べ、お客さんに自由に選んで取ってもらってレジまで運んでもらう「セルフ」にすれば、店員の手間もかからないし、お客さんの待ち時間削減にもなります。

それから、「セルフストレージ」というのもあります。「セルフストレージ」とは、お客さんが収納スペースをレンタルし、家具や衣類、趣味のものやスポーツ・レジャー用品などを置き、自身で荷物を出し入れできるサービスのことです。こうすることで、お客さんは営業時間などを気にせずに好きな時に出し入れできますし、店側は、受付をして案内するだけの価値の低い作業を削除することができます。

技術の進歩がセルフを後押し

香田:また、機械が発達してきているので、人間なしでも出来る物事が増えてきました。例えば、身近なところでは「セルフ給油」がありますよね。今時、クレジットカードを持っていない人はほとんどいませんから、支払いも自動でできてしまいます。

「無人契約機」なんていうのもありますね。契約自体は知識やスキルが必要なわけではなく、証明書など必要な書類があることを確認すれば良いので、無人化できてしまうんですね。そういう意味では「自動販売機」は古参のセルフですね。常識や慣例を疑えば、意外と無人で出来るビジネスや仕事は多いんですよ。

成瀬:なるほど、そこに目をつけたんですね。「セルフ」に。

香田:そうです。そもそも人件費っていうのは、コストの中でもかなり大きい部分を占めていますよね。ですから、ちょっとだけお客さんに我慢してもらって割引しても、人件費を削った方が利益率が高くなるんです。

特に、これからは、どんどん人手が少なくなっていきますので、我々、中小企業の社員採用コストはどんどん上がるでしょう。だったら、多少、設備投資しても人件費を削ることができれば、その分はすぐにペイしてしまいます。

少し考えるだけでも、他にもまだまだセルフ化できるものはたくさんあります。セルフサービス型のビジネスは大きなコスト削減の可能性を秘めているのです。

意外な「セルフ」のニーズとは?

香田:それから、セルフサービスのビジネスモデルは手間や時間の削減などの効果だけでもないのです。意外に思うかもしれませんが、お客さんは、必ずしも店員に接客されることは望んでいない場合もあるんです。そういう部分をセルフサービスにすることで、売上が伸びる事例もあります。

例えば、回転寿司チェーンなどがタブレット端末によるオーダーシステムを導入していますが、セルフで注文したほうが、客単価は伸びる傾向にあるそうです。

ハリウッドスターのアンジェリーナ・ジョリーが遺伝子検査で卵巣と卵管の早期切除を行って有名になった「DNA検査」も、病院に行かなくても、自宅に検査キットを送ってきて、唾液を入れて送り返せば検査をしてくる「セルフ」方式のものがあります。

常識に囚われると色々なものが見えなくなりますが、世の中には意外と『セルフ』で済むものがたくさんあります

社内のコストダウンにも使える「セルフ」思考

香田:それから、この「セルフ」は社内にも必要な考えです。感情や慣例というだけで無駄な人件費を払っているものが、まだまだ、たくさんあります。

例えば、机の横に置いてあるゴミ箱のゴミ捨て。ビルの清掃会社の人が回収してくれるところがありますが、社員が自分で捨てに行けるようにしておけば、外注費を低減できる可能性がありますね。

まとめ

あなたのビジネスや会社に「セルフ」でできるものはありませんか?

コストがかかる割にお客さんからはあまり価値を認められないプロセスは?
そのプロセスを「セルフ」にした場合のお客さんのメリット・デメリットは?
「セルフ」で削減できる人件費は?
「セルフ」に必要な設備は?

P.S.様々な「セルフ」ビジネスのアイデアもわかります

中小企業経営支援会

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