公開日:2017/11/30

中小企業の売上に差がつく経済学

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From:脇田優美子

あなたは、「現状維持バイアス」ということばをご存知ですか?

簡単に言うと、変化を嫌う人間心理のことです。お聞きになったことがあるかもしれませんね。
これは行動経済学という研究におけるキーワードです。でも、それが中小企業の経営に何か関わりがあるのでしょうか?

実は大いに関係があるのです。

 行動経済学を駆使する会社

中小企業経営者のあなたに、いちばんわかりやすい会社の例はライザップです。
言わずと知れた高額な会員制ダイエットジムで、現在時点で2カ月料金が29万8000円(税抜)かかります。

ライザップの痩せるメソッドというのは至って正攻法に見えるため、表からではなぜ急成長しているのかわかりにくいかもしれません。

ダイエットする際に糖質制限を中心とした適切な食生活を送ることと筋トレという手法は、地道に実践できれば誰でもやせられるはずの王道です。しかし現実にはなかなか続けるのが難しいものです。実際ダイエットほど挫折した経験者の多い市場もないでしょう。
ところが、ライザップでは結果を得やすいということで爆発的に流行っています。

実はふつうのジムやダイエットとライザップとの大きな違いのひとつが、行動経済学を取り入れていることなのです。
 

並みのサポートだけでは満足を実現できない

例えば今あなたがダイエットの必要に迫られているとして、トレーナーをつけて食事の改善指導と筋トレの指導を受けたら、すんなり痩せられるでしょうか?

あなたは経営者ですから、仕事の付き合いで外食が続きつい食べ過ぎてしまったり、忙しくていつの間にかジムに通う回数が減ってしまったり、というようなことが結構ありそうですね。

このような時に、ふつうのジムやダイエット指導では、「社長さんは、お忙しいから仕方ないですよね。今から頑張りましょう」という反応かもしれません。
けれどライザップでは、「一緒に約束したのに、食べないとおっしゃったのに破ったのですね」という感じで、必要に応じて厳しく対応するのです。すると耳の痛いことばを投げかけられた会員の真剣さが増し、きちんとコミットするようになり、トレーナーと二人三脚で目標達成に向かうことになります。この対応がきちんとできるトレーナーほど結果を出せることが社内データに明確に出ているそうです。

これのどこが行動経済学なのか?この心理は、行動経済学で互恵性あるいは返報性と呼ばれています。
トレーナーが真剣に自分に関心を持ち本気で関わってくれていると感じると、会員は支払った金額以上のサービスを受けているという感覚が芽生え、相手にお返しをしたくなるのです。それでサボらなくなりダイエットに成功するわけです。

これは、食事指導や筋トレ指導にトレーナーをつけるだけでは結果が出しにくいものを、心理面からのサポートを仕組みとして組み込み、結果につなげ、高額でもお客様が満足するビジネスモデルになっている例です。

 サポートを心理面から強化できないか

あなたの会社のサービスにも、購入時や購入後に何らかのサポートを加えていることと思います。その内容を競合より圧倒的に強化することを考えましょう。

サポートは心理面から考えることが有効です。

あなたのサービスを導入すれば良い未来の可能性があることを頭ではわかっていても、「面倒だから今のままでいいや」という現状維持バイアスを取り除くには、どんなことを手伝ってあげたらよいでしょうか?

マニュアルを渡して終わりでなく、詳しい解説動画を提供したり、何度でも参加できる無料講習会を用意したりなど、いろいろ施策できるでしょう。
ライザップのように、競合と似たようなものを売っている場合は、人と人との関わりの中でサポートを考えてみると、価値を高めるチャンスが生まれやすいでしょう。

お客様にどんどんヒアリングしてください。お客様が望む状態に近づくために何をもっとサポートしたらよいのか、たくさんの声を集めるとヒントも見えてくるはずです。
その結果、サービスそのものの価格を上げることも可能になってくるのです。

 物販でも同じこと

あなたの商品が競合より安くて効果があるにもかかわらず、見込客になかなか買ってもらえない原因にも、行動経済学でいう現状維持バイアスが関係しています。既に買っているものを「今のまま買い続けておこう」と考えるのです。なぜなら、人間はすでに手に入れたものを手放す時に損失を感じるため、新しいものに乗り換えるには、先に損失の痛みを受け入れなければ新しいものを手に入れられない、という心理が働くからです。

自社の商品に乗り換えてもらうためには、倍くらいのお得感を提示する必要があるかもしれません。
人間の感情は、得られる喜びよりも失う悲しみのほうが2倍大きい、ということを覚えておきましょう。

自社の商品で、これまで見込客が買っていたものよりはるかに大きな喜びを与えることができた時、乗り換えてもらえる可能性が高まります。少しではなく、圧倒的な優位性がないと厳しいとも言えます。そのためには、やはり物単体の価値ではなく、サポートを含めた全体を1つの商品として考える視点が必要になってくるでしょう。

お客様の購買行動には、合理的とは言えない心理が働く側面が多々あります。ビジネスを理屈だけで考えてしまうと、なぜ売れないのだろう?と行き詰まってしまうかもしれません。お客様の心理にもっと目を向けて考えていきましょう。

お客様の感情を深く知りたいのなら
>>中小企業経営支援会

 

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